代表挨拶

  • 株式会社 美々卯 社長
  • 薩摩 和男

昨日までの努力が今日のお客様を呼び今日の努力が明日の「のれん」をつくる。積み重ねがあってこその老舗です。

創業からおよそ240年、連綿と絶えることなくご愛顧いただいた多くのお客様のお蔭をもちまして、私ども美々卯は「老舗」と呼ばれる和食店のなかでは、店舗数・年商ともにトップクラスの成長を遂げることができました。もとより「老舗」とは、過去の歴史の長さを誇るものではありません。昨日から今日、今日から明日へと努力を積み重ね、常にその時代のなかで輝き続ける存在であってこそ、真の価値が評価されるものと確信しています。
 店の経営にあたって、私は二つの指針を持っています。一つは自分がぜひ行きたいと思う店であること。店格にふさわしい高品質な素材を使い、安心して食べられる調理法でつくられ、顧客として納得のいくサービスが受けられ、なおかつリーズナブルな価格であること。それが第一の、しかも絶対的な条件です。

もう一つは自分の子供に、毎日でも安心して食べさせられる料理であること。新鮮な天然の素材を使い、化学調味料などの食品添加物を使わず調理し、しかも栄養のバランスを考えた料理を提供すること、これも絶対的な条件としています。もちろんその前提として誰が食べてもおいしく、見た目にも美しいという条件を満たす必要があることはいうまでもありません。

今や外食産業の常識ともいえるセントラルキッチンシステムを導入しないのも、こうした経営方針を貫くためです。昔ながらの手法でだしを取り、下ごしらえをして一品一品作り上げていく。最近の感覚からすればいかにも非効率的ですが、だからこそ自信をもってお客様におすすめできる料理ができ、基礎からしっかり調理技術を身につけた調理師も育ちます。

このやり方を貫く限り店舗数は三〇店が限界でしょうが、もちろん美々卯はこの方針を変えるつもりはありません。たとえ一〇〇年たっても、美々卯でしか味わえない「美々卯の味」を提供したい、と言うのが私の変わりない気持ちです。それ以上の発展は、美々卯以外の業態で拡大すればよいことであり、新たな可能性を模索しているところです。

美々卯の「のれん」を守りつつ、積極的に経営の近代化を推進し、たゆみない成長発展をめざしていく。この方針の成否のカギは、まさに将来の美々卯を背負って立つ若い人材が握っています。今後とも意欲に満ちた人材を補充し、一人ひとりを精鋭に育て上げ、より大きな未来を託していきたいと考えています。