店の扉を開けると、出汁のいい香りがする。今日は息子がはじめて彼女を連れてきた日。初対面のぎこちない緊張も、店員さんが鍋の準備をしてくれる間に少しほぐれてきた。
はまぐりが開くと、歓声が上がる。「さあ、遠慮しないで、おなかいっぱい食べてね」。色鮮やかな鍋を前にふたりから自然と笑顔がこぼれた。私たちもそれにつられて笑う。
会話が弾み、箸が進む。これが大勢で囲む鍋の力だ。もう、最初の頃のような緊張はない。みんな満足してくれただろう。空になった鍋がなによりの証拠だ。
一人良し、二人ならなお良し。
わいわいと皆で連れ立つも愉しい。
どんなシチュエーションも包み込む
趣向を凝らしたなごみの空間で、
お品書きにはない
たたずまいやこだわりも、
心ゆくまでご賞味くださいませ。